(Straw × Urushi × Wood)
京北産木材に漆を塗った「使い捨てない」「使い続けられる」ストロー
第19回 京都環境賞 特別賞(循環型社会推進賞)受賞
京北産の木材に漆を塗った、使い続けられるストロー。山と森が抱えている問題をなんとかしたい。ものを使い捨てたくない。林業や木工に関わる方々のそんな思いに共感し、持続可能なものづくりの実現を目指す活動が始まりました。
漆を塗ると耐久性が増し、木のストローを洗って使い続けられるようになります。プラスチックから木へ。小さな選択から、循環を育むライフスタイルが広がっていくことを願っています。
思いを伝えるプロダクト
京都の京北町で無垢材の家具を作っている、吉田木工の吉田さん。2019年、Tom Wegener氏の滞在型ワークショップ「Wegener Surf Stay in 京北」の会場として、工房をお借りしたことが僕たちの出会いでした。漆のサーフボードから木と漆の組み合わせに可能性を感じてくれた吉田さんが、「使い捨てない木のストローを作りたい」と声をかけてくれました。
京北という地域のこと、そして山や林業が抱える課題をもっと多くの人に知ってもらいたい。自分たちの思いを伝えるプロダクトを生み出すための挑戦が始まります。
チップになる廃木材をストローに
ストローの土台になるのは、京北の山から伐り出した木材。使い道がなく、ウッドチップに加工されてしまう丸太の端材を使います。京北で林業を営む四辻木材の四辻さんに山を案内してもらった時、台風や大雨で倒れたまま放置された木々を見て胸が痛みました。
自然が育んだ立派な木々。粉々に砕いてしまう前に、もっとできることがあるんじゃないか……
現状を目の当たりにし、ストロー作りへの思いがより強くなりました。
京都で受け継がれてきた塗師の技術
耐久性があり使い勝手のいいストローを完成させるために、試行錯誤の日々が続きました。まずは、薄く削った木材を巻いて筒状にし、ストローを形作っていきます。そのままでは使っていくうちに飲み口がはがれてしまうので、下地に和紙を貼り、漆で固めることに。京漆器の塗師・高木漆工の高木さんが、京都で茶道具を作るために受け継がれてきた技を施し、/suwを仕上げてくれました。
なるべく地球を汚さないパッケージ
パッケージの制作にもたくさんの人が協力してくれています。修美社の山下さんが提供してくれた、紙出(しで)と呼ばれる印刷の余り紙を使用し、接着剤や糊を使わずにすむよう工夫しました。デザインは、Moonlite Graphicsの掛札さん。そして、映像作家の亀村さんがプロジェクト全体を動画に収めてくれました。
漆が人の感性に訴えかける
木の樹液である漆は、水分を含んだまま強固な塗膜を作ります。かたいけれどやわらかさもある、しっとりとした感触。優しくなめらかな口当たりは、漆ならではの魅力です。日本人が縄文時代から大切にしてきた漆は、人の感覚を研ぎ澄ませてくれる素材だと僕たちは思っています。
ベアーズウッドプロジェクトへ
吉田さんたちと新たに進めているのが、ベアーズウッドプロジェクト。京北の山では、クマが爪や牙で樹皮を剥ぐ「クマ剥ぎ」の増加が問題になっています。クマ剥ぎにあった木は、新しい樹皮が傷を覆うように育ち、独特の木目が表れます。これまでは木材として価値がないと判断されてきましたが、他にはないオリジナルの木目をアートとして活かしたいと考えました。
クマ剥ぎが増えたのは、昔よりも人が山に入る機会が減ったからとも聞きます。クマを悪者にするのではなく、自分たちが新しい価値を生むことで問題を解決できないか。木が循環するものづくりのあり方を、模索しています。
/SUWを使い続けるコトで生まれる
環境に優しいコト
SDGsの機運の高まりに伴い、様々な商品の生産工程や、サービスにおいて排出される
CO2(二酸化炭素)の量を目にすることが増えてきました。
一方で、その排出量が多いのか少ないのか、どれくらい環境に良いのかを1つの数字だけから
判断することは難しいです。そこで従来使用されているポリプロピレン製のストローと/SUWをそれぞれ2年間毎日使用した場合の「デカボスコア」で表しました。詳しくは、こちら
■商品ページは、こちらから
【 /SUW プロジェクトメンバー】
吉田木工
camera & editing
亀村佳宏
package Design
Moonlite Graphics 掛札
supported by
四辻木材
京北森林組合
辻井木材株式会社
板五製材有限会社
工藝の森
高木漆工
小野友資